15日衆議院特別委員会で強行採決された安全保障関連11法案は16日、衆議院本会議で自・公などの賛成多数で可決され参議院に論戦が移った。
今日17日、札幌市議会最終日、民主党・共産党・改革・市民ネット・維新の提案で意見書案第10号「安全保障関連法案の廃案を求める意見書」を提出しましたが、自民党・公明党の数に及ばず採択されませんでした。
戦後70年にして、また戦争に参画できる国になることは、許されません。8割の国民が理解せず、6割が反対をし、憲法学者も法曹界も元法制局長官も「違憲」と言明しているのに、国民軽視も甚だしい。
参議院は「良識の府」であり、あと60日議論の余地があるので、国民意見を高め、廃案を目指し力を尽くしてまいります。
以下、わが会派峯廻のりまさ議員による討論原稿。
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私は民主党・市民連合を代表して、意見書案第10号「安全保障関連法案の廃案を求める意見書」に賛成する立場から討論を行います。
安倍内閣は昨日、自衛隊の海外派遣を恒久化する「国際平和支援法案」と、集団的自衛権の行使を可能とする武力攻撃事態法改正案など10本の法案を一括した「平和安全法制整備法案」について、衆議院本会議で強行採決しました。
戦後70年もの間、憲法9条にもとづき「集団的自衛権は行使できない」としてきた歴代内閣の憲法解釈を時の内閣の一存で勝手に変更することは断じて認められません。
6月4日に開催された衆議院憲法審査会では、自民党の推薦を含む憲法学者3人全員が「法案は憲法違反である」との見解を示しました。さらには、国民の約8割が説明は不十分、半数近くが反対や慎重審議を求める国民世論の中で、各自治体議会からも反対や慎重審議を求める意見書が提出されております。こうした事にもかかわらず、強行採決に踏み切ったことは民主主義を否定するものであると言わざるを得ません。
そもそも安倍総理は法案を国民に丁寧に説明し、国会においても真摯な議論を積み重ねる姿勢は見られませんでした。そのことは、米国議会において、法案の成立を約束したことでも明らかです。憲法違反の疑義がある法案にもかかわらず期限を切って、法案の成立を他国と約束することは、まさに国会軽視、国民無視の極みであります。
また、安倍総理は100時間以上の審議をしたと言及していますが、11法案が提出されている中で1法案の審議はわずか10時間です。この審議においても事実上、100回も審議が中断されており、法案及び政府の説明が破綻していたと言わざるを得ません。まして、日本の安全保障政策の大転換をこの程度の議論で決定することなど到底許されるはずもありません。
今回の安全保障関連法案は多くの問題が山積していますが、最大の問題は武力行使の新3要件とこれに基づく存立危機事態、すなわち集団的自衛権の限定行使が挙げられます。新3要件は便宜的、意図的な解釈変更であり、まさに立憲主義に反するものです。政府は砂川事件判決を根拠に持ち出しますが、そもそも集団的自衛権を視野に置いていない判決を根拠にすること事態が論外であり、1972年の政府見解を照らし合わせても、真逆の結論を導き出している新3要件は専守防衛を逸脱しています。ましてや、存立危機の認定は、「最終的には時の内閣が判断する」としているのであれば新3要件でいくら文言を並べてみても、政府が言う歯止めには全くなりえません。
国会周辺をはじめ全国各地で抗議行動が続けられ、この声はさらに大きなものなっていくでしょう。このことは、法案に対する国民の理解が得られていないどころか、審議を通して法案そのものの危険性や曖昧さが国民に理解されている証左です。
安全保障をめぐる国際環境が変化しているのは言うまでもありません。それに応じた安全保障政策を検討することは、政府の重要な責任です。しかし、個別的自衛権で対応できない事例とは、どのようなものかについて具体的な説明はなされておらず、仮に集団的自衛権の行使、他国軍への後方支援を必要と考えるなら、国民投票を含む憲法改正の手続きを踏むことが、民主主義国家として避けて通ることはできません。
法案をこのまま成立させることは、憲法が権力を縛る立憲主義、あるいは戦後70年かけて日本が積み上げてきた民主主義を冒涜するものです。戦後日本は大きな犠牲を出した先の大戦の反省に基づき、専守防衛を柱にして安全保障政策を構築してきました。それを数の力で踏みにじる暴挙は、国民すべての思いである平和主義と憲法の理念である不戦の誓いをなきものにすることです。
私たちが70年間享受してきた民主的で平和な日本社会をこの先も続けていくため、市民の声を真摯に受け止めながら平和への歩みを重ねることを誓い、同僚議員の皆さんの賛同を心からお願いして、安全保障関連法案の私の討論をおわります。