B型肝炎ワクチンの定期接種化に伴う対応について(2016/6/1厚生委員会)

2016.07.10
予防接種スケジュール
B型肝炎ワクチンの定期接種化がこの10月から進められようとしています。国の定期接種は都道府県が決定すると、政令市である札幌市も必然的に接種勧奨を求められます。
対象者にワクチンの効果と副反応についてしっかりと伝えるよう工夫し、ワクチンの接種を受けたくないという方の権利も、しっかり守られるべきであること。
国に対し、定期接種化となった場合には、報告期間後の副反応においても、医師は報告を速やかに行うことを通達などにおいて注意喚起し、副反応の幅広い情報収集に配慮することや、副反応被害救済は速やかに行うことを国に対してしっかり要請することを求めました。
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(質問) 定期接種化に至った背景について 
・今年度から開始された、日本脳炎ワクチンを始め、乳幼児に奨められる予防接種は接種も回数も急増している。
特に2ヵ月からお誕生までに接種スケジュールはびっしりで、1才までに接種回数は定期接種だけでも13回となり、今回B型肝炎ワクチンが導入されると16回となる。
・その他にも、ロタワクチンやインフルエンザワクチンなど、中には水ぼうそうやMRを任意接種として1才前に医師に勧められて接種していう例もある。
・任意すべてすすめられるままだと1才までに15〜16回、7歳までになんと40回になる。
・保護者の疑問は今までは2歳までは接種することがほとんどなかったのに、なぜこれほどたくさんのワクチンが必要なの?」「小さい体に、こんなにワクチンを打って大丈夫なのか」という不安の声が多く聞かれます。

・B型肝炎ウイルス(HBV)は血液、体液を介して感染するものであるが、1985年までは多くは母子感染、とくに分娩時の産道を通るときに母親から感染するものでした。しかしこの感染経路については、HBVキャリアの母親からの出生時に予防処置をすることで、現在ではほぼ100%防ぐことができるようになった。
・B型やC型の肝炎ウイルス感染で、肝がんなどへの移行が問題となるのは感染が持続する場合であり、感染の可能性のある人をキャリアという。我が国は約110万〜140万人のキャリアがいると推定されるが、垂直感染(母子感染)や水平感染では一過性感染で終わる場合が多いとされる
・キャリアは40歳代以上ではどの年代でも人口の1~2%で大差なく、30歳代以下では1%未満となっており、1986年以降生まれた子どもに新たなキャリア発生はほとんどない。
・その他の感染経路として、注射針の使い回し、輸血や血液製剤の使用など、医療行為によるものがあったが、現在の日本では献血時の検査制度もあがり、輸血その他の血液製剤投与による肝炎の発生の可能性は限りなくゼロに近づいており、注射針の使い回しや刺青、消毒等を十分行わないピアスの穴開けなどによる感染の可能性が残されているのみである。
・母子感染、医療行為による感染がなくなっても、HBVの感染経路は全くなくなったわけではなく、現在では、HBVの主な感染原因は、血液や体液を介する感染と、性行為感染によるものが大部分となっており、技術的限界でゼロにはできないものの、年間少数の感染が報告されるのみとなっており、日本は、世界一B型肝炎を克服できた国と言われ、WHOの達成基準もとうに達成している中で、ユニバーサルワクチン導入の必要性は疑わしい。

・札幌市は、肝炎ウイルス検査も進めており、早期発見・早期治療に有効な手立ては充分に行われている。
(質問)
あらためて?@定期接種化に至った背景、また?A対象者が1歳未満、3回接種ということの理由と、?B接種を受けない場合に想定される不利益を具体的にご説明下さい。

(答弁)札幌市保健福祉局
?@定期接種化の背景について
B型肝炎ウイルスの感染経路は、委員からご指摘のあった血液感染、母子感染のほか、小児の間での水平感染が日常生活の中でも起こっていると報告されている。
○このような中、1992年WHO世界保健機関はB型肝炎ワクチンについて、出生後の早い時期に小児を対象として広く接種を実施することを各国に勧告しており、2013年までに183か国で、乳幼児の予防接種が導入されている。
○これを受け、日本においては、平成24年に厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が、医学的・科学的観点から広く接種を促進することが望ましいワクチンのひとつに位置づけ、平成28年2月の厚生科学審議会において定期接種化について了承され、平成28年10月から、定期接種が開始される予定。

?A対象者および接種回数の理由について
まず、対象者については、小児がB型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫が未熟であるため、若齢であるほど持続感染、いわゆるキャリア化の危険性がたかくなるといわれている。
○したがって、生まれてからより早い段階での接種が重要であり、出生から1歳までが対象年齢とされているところ。
○次に接種回数については、医学的に、3回の接種により適切な免疫効果が得られることが確認されたことによる。

?B接種を受けない場合に想定される不利益について
B型肝炎ワクチンの接種を受けることで獲得される免疫効果が得られないということが考えられる。
○具体例として、平成16年に佐賀県の保育施設において、B型肝炎ウイルスに対する免疫を持たない乳幼児や職員の間で感染が広まったと推察された集団感染事例がある。
○この事例の報告においては、乳幼児に感染予防策を求めることは難しいため、再発防止に向けた対応としてワクチン接種の勧奨も提言されている。
○この事例は、保育施設などの利用が始まる前の乳幼児のワクチン接種が、B型肝炎の感染防止に有益であることを示していると考える。

(再質問)副反応の報告状況について
・B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染が原因で起こり、血液・体液中のウイルスが、他人の血液・体液中に入らなければ、感染は成立しない。
・母親の抗体検査をして、ウイルスを持っていれば、赤ちゃんに接種する、それがこのワクチンのあり方で、それによって母子感染を予防するためのもの。
B型肝炎ウイルスを持たない母親から生まれた赤ちゃんへのワクチン接種は、現在の日本ではまったく不要だと言われている。
・水平感染を心配する声もある。家庭内や保育園での感染の事例もあるが、数は少なく、2011年厚労省研究班「B型肝炎の母子感染及び水平感染の把握とワクチン戦略の再構築に関する研究」においても、「小児期の水平感染の実態のさらなる把握」が今後の課題に位置つけられているにとどまっている。
・それでも水平感染防止対策をと考えるならば、水平感染のハイリスクグループと言われる医療従事者、警察、救急、介護関係、乳幼児施設員やHBVキャリアの家族を対象に公費助成制度を行うことで、予防効果は更にあげることが出来るとされている。
・接種には副作用の可能性が伴うのは、子宮頸がんワクチンを始めとする今までのワクチン接種による被害報告で知り、やり場のない怒りを感じてきた。
 ワクチン不要の赤ちゃんにまで、わざわざ不要なリスクを負わせることはさけなくてはならない。
・子宮頸がんの例でみると、重篤な副反応の懸念が払しょくできない。
・子宮頸がんワクチンの副反応は、被害者側の強い働きかけにより、昨年秋に国がようやく救済制度の手続きを円滑に進めるように関係機関に指示をした状況だが、いまだに進んでいない。
(再質問)
?CB型肝炎ワクチン接種は、現状では任意で接種されているものだが、その副反応の報告の状況は?

(答弁)
?C副反応の報告状況について
最近取りまとめられた件数としては、平成25年4月から平成28年2月での間に、延べ1,100万件の接種が実施され、接種部位の腫れ、発熱、アナフィラキシーなど、合わせて239件、割合にして0.002%すなわち10万件の接種に対し2件の副反応が報告されている。
○これらについては、現在定期接種となっている他のワクチンと比較し頻度が高いものではなく、特異的な症状が出ている状況ではない。


(再々質問) 接種前の副反応に関する情報提供について
・他の定期接種と比べても、副反応の頻度は高くはないとのことだが、同時接種で4人が亡くなり未回復の方もあるのも事実。
・ワクチン接種とはウイルスや細菌を含んだワクチンを強制的に体内にいれ、軽く病気にかからせて免疫をつくること。
・ワクチンを接種するか否かは、本来は接種対象者がそのワクチンの安全性と有効性を比較したうえで、B型肝炎にかかることを予防したいか否かを自主的に決定するべき。
・しかし、残念ながら、予防接種法及び施行令によって定期接種に指定されると、接種対象者には接種の努力義務が法律によって課せられ、かつ、市町村長または都道府県知事は接種対象者に予防接種をうけることを勧奨することが義務つけられ、札幌市が自主的に判断する権限はない。

・副作用の懸念や、当日の健康状態を見極めて接種の選択をすることなど、事前の情報提供を保護者や接種対象者に十分にすることは必要。
・日本脳炎ワクチンの導入の際には、チラシへ副反応の具体的な説明を盛り込むよう強く要望した経緯あり。
・定期予防接種の実施に際しては、ワクチンの効果や副反応などについての情報をわかりやすく提供、丁寧な説明を行い、接種を受ける方や保護者がよく理解したうえで、接種を受けるかどうかを判断できる体制を確保すべき。
(再々質問)
?D定期接種を実施するにあたり、ワクチンの効果と副反応に関する情報をどのように対象者へ伝える予定か。

(答弁)
?D接種前の副反応に関する情報提供について
予防接種実施期間には、接種を希望する方へワクチンの効果と副反応について、事前説明が確実に行われるように文書で依頼していく。
○今後、定期接種の開始に向けて、保健所、各保健センターや接種医療機関において、ワクチンの効果と副反応についてわかりやすく記載したリーフレットの配布を行うなど、丁寧な情報提供に努めたい。
○更に、リーフレットなどに比べ多くの情報掲載が可能である札幌市ホームページにおいて、B型肝炎ワクチンの効果と副反応について、詳細な情報をお知らせしてまいりたい。

(要望)
・大人になってからの性交渉感染がこわいからと言ってこどもに打っておくことが必要とは考えられない。
・確かにすべての乳幼児に接種が進められている国もあります。いまだに幼いころの割礼や刺青による感染など、日本とは異なる文化の中でのことです。イギリスやスゥエーデンは日本と同じ母子感染防止対策をとっていると聞く。
・対象者にワクチンの効果と副反応についてしっかりと伝えるよう工夫し、ワクチンの接種を受けたくないという方の権利も、しっかり守られるべき。
・また、省令案では、B型肝炎ワクチンの定期接種化に際して、副反応の報告基準をアナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎などの症状別にそれぞれ4時間から28日まで設定している。
・子宮頸がんワクチン副反応でも同じく、期間後であることでワクチン接種との関連性が検討されることもなく報告対象から外される事例が多々見られる。
・札幌市は国に対し、定期接種化となった場合には、報告期間後の副反応においても、医師は報告を速やかに行うことを通達などにおいて注意喚起し、副反応の幅広い情報収集に配慮することや、副反応被害救済は速やかに行うことを国に対してしっかり要請することを求める。

篠田江里子

篠田江里子

プロフィール

1950年東京都生まれ、横浜市、名古屋市育ち、慶応義塾大学卒業、結婚により札幌市へ。

専業主婦を経てローラアシュレイジャパンで社会人復帰、札幌・東京の店長やマネージャを務め、2006年退社。

東京赴任中、円より子主宰“女性のための政治スクール”に参加。民主党さっぽろ公募を経て2007年札幌市議会議員に初当選以来5期目の活動。

各常任委員会委員長、予算・決算特別委員会委員長、
冬季五輪招致・スポーツ振興調査特別委員会委員長、
札幌市都市計画審議会委員、
議会運営委員会副委員長、

新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会副委員長歴任。
今期、第42代札幌市議会副議長。
(家族:既婚の娘二人、母)

活動履歴

  • 札幌市DV(配偶者間暴力)被害者支援ボランティア
  • 札幌市食生活改善推進委員
  • 高齢社会を良くする女性の会、I女性会議、ゆいネット、BPW会員、SI札幌会員
  • 保護司・札幌認知症の人と家族の会
  • 環状通東商工会委員、すすきの観光協会理事
  • 元立憲民主女性議員ネットワーク会長