(1) ひきこもりに関する相談と支援の現状について
・「8050問題」とは、80代の親が収入のない50代の子どもの生活を支え、
行き詰まっている世帯のことを指す。その背景には、長期高年齢化している
ひきこもり状態にある人たちとその家族の孤立がある。
・行政の支援が届かないまま、親が先に亡くなり、そのまま子どもも亡くなって
しまう事件や、親が先に亡くなり、どうすることもできない子が親の死体を
放置して逮捕されてしまう事件などが札幌を始め全国で相次いでいる。
・これまで代表質問や特別委員会でひきこもりについて3回質問をさせていただき、
高齢化がすすんでいる実態把握を求め、ひきこもりサポーター養成研修や常設の
居場所など支援の充実を求めてきました。
・札幌市が2018年に行ったひきこもりに関する実態調査により、中高年層の
ひきこもり当事者が若年層と同様の規模で存在する実態が明らかとなりました。
・これを受け、わが会派では、ひきこもり当事者とその家族など、幅広い世代への
円滑な支援が可能となるよう、事業実施体制の在り方を検討する必要性を訴えて、
2020年度(令和2年度)に子ども未来局から保健福祉局に業務移管される
こととなり、一歩前進と評価しています。
・その後、新型コロナウイルス感染症の流行による大きな社会情勢の変化があり、
社会全体としても外出機会が減少するなど、市民の活動にも大きな制約が
生じました。
・そのため、以前からひきこもりの状態であった方にとっては、外出する
きっかけが見いだせなくなり、また、新たにひきこもりがちになった方も
いると考えられます。
・最近は社会活動が戻りつつありますが、ひきこもりの状態にある方が再び周囲と
つながることは、簡単なことではありませんし、ひきこもる期間が長くなると、
外に出るまでにさらに時間がかかると聞いています。
・このような事態とならないよう、早期に相談できる環境が必要であると考えます。
質問1:
札幌市のひきこもりに関する相談及び支援の現状について伺います。
(答弁)
(2)今後の取組について
・相談総件数は増加傾向ですが、実態調査において、ひきこもり状態にある方は、
10代から60代まで札幌市には約2万人と推計されていますので、
まだ相談に至っていない方も数多くいるものと思われます。
・また、集団型支援拠点「よりどころ」については、ひきこもりの状態にある方の
社会参加に向けた取組を行っているとのことでしたが、ピアサポーターからの
経験談に耳を傾け、参加者同士の情報交換ができる貴重な場であると考えます。
・コロナ禍がスタートした2019年4月からは全国に先がけ、
オンラインよりどころを導入し、当事者会、親の会を各1回ずつ開催し、
会場に来れない方などが参加されているとのことでした。
・またどの会場でも中心的に活動しているピアサポーターの有効性については、
全国各地で指摘されてきましたし、国もピアサポーターの活用は重視しています。
・しかし、いまだに専門職の補助員的な待遇で有償ボランティアに留まっており、
彼等を専門職と対等に位置づけて、ピアサポーターからピアスタッフとして
就労することが、必要だと思う。
・現在の「よりどころ」はかでる2.7の貸室を中心に開催されているが、
固定化された居場所があれば、いつでもだれでもが出入りでき、
いままでのようにピアスタッフと雑談したり、ゲームをしたり、
手仕事をしたりできるのでは考える。
・2018年度に札幌市が当事者へ実施したアンケートでは関係機関への
相談意向を聞いています。当事者にひきこもり状態を変えるために
役立っていることを聴いていますが、ひきこもりに関する相談窓口であり、
同じ悩みを持つ当事者が集まる居場所、そして就労に向けたトレーニングが
上位となっている。
・ひきこもり地域支援センターは設置から7年、「よりどころ」は4年が経過し、
安定的に運営されるようになりましたが、コロナ禍から社会活動が戻ろうと
している今こそ効果的な支援に向けた対策が必要であると思います。
質問2:
ひきこもり支援の今後の取組について伺います。
(答弁)
(要望)
・ピアサポーターによる相談者に寄り添った支援を継続するため、
ピアサポーターが円滑に支援を行える環境とピアサポーターの待遇に
関することなど、改めて検討していただきたいと考えます。
・ひきこもりの方には新たな課題も起きています。
よりどころに参加される方たちは一様に無職や低所得で交通費を抑えるために
自転車で居場所に来ています。札幌都心部の駐輪場が有料化され、
駐輪するところが限られており、大変苦労しています。
・是非、精神保健センターには各支援団体との関係強化をしていただき、
様々な当事者の声を聴きとっていただき、何か解決方法はないのか、
共により良い方法を考えていただきたい。